2013年の活動記録

岩手県(遠野、大槌、釜石、陸中山田)訪問

  • 活動期間 2013年8月22日~25日
  • 活動者  山岳奉仕団 2名
  • 活動場所 岩手県、遠野、大槌、陸中山田、釜石
  • 活動概要

 2011年3月、東日本大震災の発災から当奉仕団は被災地へ支援を行ってきました。発災から2年半近く月日が過ぎましたが、私たちは今でも自分たちができることを継続したいと思っています。

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 Wさんは日赤本社のボランティアセンターから遠野を拠点として活動を行っていました。私は日赤秦野病院の医療チームと陸中山田の高校にあった避難所の医療支援、周辺地域の訪問診療を行いました。Tさんは医療班、MIさんは心のケアチームで、釜石で活動するなどこの地区は日赤神奈川県支部、山岳赤十字奉仕団にとっていまでも忘れられない場所です。

 22日(木)、21時ころ日赤神奈川県支部を車で出発し、翌朝遠野の道の駅で仮眠。ここは日赤神奈川のボラバスで遠野に行った際も、立ち寄った場所です。夜半は雨交じりでしたが早朝は朝日が見え快晴となりました。

 23日の行動は、まず大槌、山田に行き遠野のボランティアセンターに戻る予定です。大槌には釜石経由で向かいました。釜石市役所は壊れたまま、東北電力釜石営業所のビルも2011年3月と変わらず手がつけられていません。いま、三陸の国道は「ここまで2011年の津波被害がありました。」という看板が道路標識と同じように道の上に掲示されています。釜石から大槌に行く途中、2011年の津波被害ばかりではなく、昭和初期津波、チリ地震津波の被害を示す石碑が見られます。

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 大槌では、城山と言う市街を見下ろせる高台に行き、その後の町の推移が見られました。がれき処理はかなり進んでいますが、建物がほとんど撤去された場所は雑草が茂っています。
 大槌町役場はそのまま残されていますが、3階建ての建物は屋上まで津波に洗われ被害が大きく、間も無く撤去されるようです。

 大槌中学校の跡を訪問しました。校舎には大きく「大槌中学校、気づき考え実践する」というプラカードが掲げられ、生徒がいなくなった今でも学校のモットーを掲げています。青少年赤十字に熱心な学校だったのでしょう。
 大槌の中心部から吉里吉里地区に行きました。2011年、Wさんは遠野から吉里吉里のボランティア拠点を頻繁に往復していました。そのときお世話になった調剤薬局の方にご挨拶で伺いました。当時ご自分の薬局が被災されたにもかかわらず、ボランティアセンターに協力頂いたということですが、住民が大きく減った今でも吉里吉里に残って仕事をされています。

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 大槌から国道を北上し陸中山田に行きました。途中にある「道の駅」は発災当時も営業していて、医療チームの食事の材料や新聞などを入手するため何回も通いお世話になりました。山田の漁港周辺、国道沿いの堤防などまだ復旧が進んでいないところもかなり見られました。秦野病院チームが常駐した県立山田高校は、今ではインターハイにカヤックの選手を出すなど震災前の学校生活に戻っています。自衛隊の車で一杯だったグランドは、高校生が汗を流すグランドに戻っていました。しかし、市役所のそばにある山田南小学校の校庭の半分はプレハブの住宅が作られていました。2011年はここに国立医療法人(国立大学の医学部)の薬剤部門が奉仕活動をしており、毎晩、医療支援チームの打合せや処方箋の医薬品を取りに行きました。

 この日は、夕方遠野ボランティアネットに戻り24日の奉仕活動の登録をしました。Wさんと小生は大槌で畑作業を行うチームに登録しました。
 24日、朝7時過ぎに遠野まごころねっとに集合。今日の奉仕活動の指示をうけ各現場に向かいます。ボランティアセンターにはこの週、京都の大学から大型バスで50人以上の学生が奉仕活動に入っていました。この日もまとまって支援を行っていました。

 Wさんと小生は、大槌の山間部にある休耕地を市民に貸与している畑の雑草取りを他の5人の仲間と行いました。雑草は根が張っており、鎌で刈り取ってゆきます。畑の法面があったり硬い荒地であったりで、大きな面積の雑草を取り除く作業は時間がかかります。奉仕活動は相手のニーズにどのくらいこたえられるか、と言うことが大切で中身のえり好みをすることは活動の趣旨に反することです。

 この日は他に、お祭りやコンサートの準備、数日前にあった大雨の被害から家の泥をかき出し畳を上げるなどがありました。
 午後、作業を終えてボランティアセンターの方が大槌の被災の跡を見せるため、車で遠回りをしてくれました。これは重要なことで、体を使って現地に奉仕することの大切さと同様に、現地でどのようなことが起きたかいまそれが(そこが)どうなっているかを目にし心に焼き付けることも被災地を思い支援するには大切な事です。

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 中学校に「気づき、考え、実践する」という青少年赤十字のモットーを掲げるこの町に、数校あった小学校が一つに合併されました。その影響で通学範囲が広がったため、町中の小学生の送り迎えに赤十字がマイクロバスの通学バスを寄贈しています。

 学校の次に向かったところは、港にあった消防本部跡でした。多くの犠牲者がでた建物だそうで、今も慰霊の人が後を絶ちません。この町の復興はいま緒に就いたばかりで、目に見える改革はありません。堤防の高さを上げ補修すること、市街地の盛り土を行い人を町に集め安全に生活できるようにすること、この町に住み続けられるように経済を復興することなど進めなければならない仕事は山積しています。

 私たちは奉仕活動で被災地の支援を続けたいと思います。神奈川県の赤十字ボランティア、日本赤十字社神奈川県支部、山岳赤十字奉仕団は私たちの出来ることから、自ら進んで奉仕活動を継続します。

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 大槌で、元団員が開業している「大光そば」で、海鮮そばを賞味させていただきました。潮の香りと海の味がした絶品でした。市役所の正面にあり、昼時はお客さんが一杯とのこと。Wさんと小生は時間をずらし午後に伺いました。2時ごろでしたが、先客ありあとから見えたりといそがしくしていました。岩手に戻ってからも、救急法の奉仕活動などで活躍しています。

(記録 M.H)